採用面接では、「仕事で問題やトラブルが発生した際、どのように対応しましたか?」といった問題解決力に関する質問がよく行われます。この質問に唯一の正解はありません。採用担当者やHiring Managerが確認したいのは、応募者が問題に直面した際に、どのように状況を整理し、原因を分析し、判断して行動したのかという思考プロセスです。また、自分一人で問題を抱え込まず、必要に応じて上司やチームメンバーへ報告・相談できるか、解決後に振り返りを行い、再発防止や次の改善につなげられるかも重要な評価ポイントです。特にインドネシアの日系企業では、日本人とインドネシア人、異なる部署や取引先など、多様な立場の関係者と協働しながら問題を解決する場面があります。そのため、問題解決力は多くの職種で確認しておきたい能力の一つです。
Peoplyeeは2013年から、インドネシアで日系企業を中心とした採用支援を行ってきました。そのなかでも、問題解決力を評価する際には、「問題を解決できたか」という結果だけでなく、「本人がどのように考え、何をしたのか」まで具体的に確認することが重要だと考えています。
本記事では、インドネシア採用の面接で活用できる問題解決力に関する質問5選と、応募者を評価する際のポイントについて解説します。
この記事の結論
問題解決力を面接で評価する際は、「問題を解決した」という結果だけで判断するのではなく、問題を認識してから解決するまでのプロセスを確認することが重要です。特に確認したいのは、次の5つです。
- 問題を正しく把握できるか
- 原因を分析し、優先順位を判断できるか
- 主体的に行動できるか
- 必要な相手へ報告・相談し、周囲を巻き込めるか
- 経験から学び、改善や再発防止につなげられるか
面接では、STAR法(Situation・Task・Action・Result)を活用しながら、「どのような状況だったのか」「本人の役割は何だったのか」「具体的に何をしたのか」「結果はどうだったのか」を深掘りしましょう。応募者本人の具体的な行動を確認することで、入社後に同様の問題へ直面した際の行動傾向を判断する材料になります。
問題解決力とは
問題解決力とは、仕事上の問題や課題を発見し、その原因を分析したうえで、適切な解決策を考え、実行する能力です。単に「問題が起きたときに対応できる能力」だけを意味するものではありません。実際の仕事では、次のような一連の行動が求められます。
問題を認識する
↓
状況や事実を整理する
↓
原因を分析する
↓
優先順位を判断する
↓
解決策を考える
↓
必要な関係者へ報告・相談する
↓
解決策を実行する
↓
結果を確認する
↓
再発防止や改善につなげる
例えば、営業職で売上が低下した場合、「もっと営業活動を増やす」という行動だけでは、適切な問題解決とはいえません。まず、売上が低下している原因が、新規顧客の減少なのか、既存顧客の離脱なのか、商談数の不足なのか、成約率の低下なのかを確認する必要があります。そのうえで原因に応じた対策を考え、実行し、結果を確認します。そのため、採用面接では「問題を解決した経験がありますか」と聞くだけではなく、応募者が問題解決までのプロセスをどのように進めたのかを確認することが重要です。
問題解決力に関する面接質問をする理由
採用担当者やHiring Managerが問題解決力に関する質問をする目的は、応募者が困難な状況に直面した際に、どのように考え、判断し、行動する人物なのかを確認するためです。仕事では、すべての問題に対して上司から具体的な指示が出るとは限りません。特に管理職やリーダー、専門職では、自ら問題を発見し、原因を分析したうえで、必要な行動を取ることが求められます。
一方で、自分だけで判断してはいけない問題もあります。顧客への影響、会社の損失、納期の遅延、コンプライアンスなどに関わる問題では、適切なタイミングで上司や関係者へ報告・相談することも重要です。そのため、問題解決力を評価する際には、単純な「頭の良さ」や「判断の速さ」ではなく、分析力、判断力、実行力、コミュニケーション能力などを総合的に確認する必要があります。
問題解決力を評価する際に確認したい5つの能力
1.問題を正しく把握する力
最初に確認したいのは、応募者が問題そのものを正しく把握できているかです。問題が発生したとき、すぐに解決策を考える人もいます。しかし、問題の状況や原因を十分に理解しないまま行動すると、本質的な解決につながらない場合があります。面接では、次の点を確認しましょう。
- 何を問題として認識したのか
- どのような事実や情報を確認したのか
- 問題によって誰にどのような影響が出ていたのか
- 問題と原因を分けて考えているか
問題の表面的な現象だけではなく、本質的な課題を整理できるかが重要です。
2.原因を分析し、判断する力
次に確認したいのが、問題の原因をどのように分析したかです。応募者が最初に思いついた原因だけで判断したのか、複数の可能性を考えたうえで原因を特定したのかによって、問題解決の質は変わります。例えば、次のような点を確認します。
- どのような原因を考えたか
- どのような情報を集めたか
- 複数の選択肢を検討したか
- どのような基準で解決策を選んだか
- その判断によるリスクを考えたか
特に管理職やリーダー候補では、限られた情報のなかでも優先順位をつけ、意思決定できるかを確認することが重要です。
3.主体的に行動する力
問題を理解していても、実際に行動しなければ解決にはつながりません。面接では、「上司から指示されたので対応しました」という回答だけではなく、応募者本人が何を考え、どのような行動を取ったのかを確認しましょう。例えば、
- 自分から問題を発見したか
- 解決策を提案したか
- 必要な情報を自ら集めたか
- 関係者へ働きかけたか
- 最後まで結果を確認したか
といった行動を見ることができます。ただし、「主体性がある=すべて自分で判断する」ではありません。自分で判断すべきことと、上司へ相談すべきことを適切に区別できることも重要です。
4.周囲を巻き込む力
実際の仕事では、一人だけで解決できる問題ばかりではありません。他部署、上司、部下、顧客、取引先など、複数の関係者と協力する必要がある場合があります。そのため、次の点を確認しましょう。
- 誰に相談したのか
- いつ報告したのか
- どのような情報を共有したのか
- 相手と意見が異なった場合にどう対応したのか
- 必要な協力をどのように得たのか
特に日系企業では、「報連相ができる人」といった曖昧な表現で評価するのではなく、実際にどのタイミングで、誰に、何を共有したのかという具体的な行動で評価することが重要です。
5.経験から学び、改善する力
最後に確認したいのが、問題を解決した後の行動です。問題を一度解決できても、同じ問題が何度も発生していては、本質的な改善とはいえません。面接では、
- 問題解決後に何を振り返ったか
- 同じ問題を防ぐために何を変えたか
- 仕組みや業務プロセスを改善したか
- その経験から何を学んだか
- 次に同じ状況が発生した場合、何を変えるか
まで確認しましょう。成功体験だけでなく、失敗した経験から何を学んだのかを確認することも、応募者の成長可能性を見るうえで重要です。
問題解決力を見極める面接質問5選
1.これまでに最も難しい問題を解決した経験を教えてください
質問例
「これまでの仕事で、解決するのが難しかった問題について教えてください。どのように対応しましたか?」
この質問で確認したいポイント
この質問では、応募者がどの程度複雑な問題に対応した経験があるのかを確認します。重要なのは、問題の大きさだけではありません。問題をどのように認識し、原因を分析し、どのような選択肢を検討したうえで行動したのかを確認しましょう。
深掘り質問
- 何が一番の問題だったと考えましたか
- 原因をどのように分析しましたか
- 他にどのような解決策を考えましたか
- なぜその方法を選びましたか
- あなた自身は具体的に何をしましたか
- 結果はどうなりましたか
評価ポイント
- 課題把握力
- 原因分析力
- 論理的思考力
- 意思決定力
- 実行力
2.想定外のトラブルが発生した経験について教えてください
質問例
「計画どおりに進んでいた仕事で、突然トラブルが発生した経験を教えてください。その際、どのように対応しましたか?」
この質問で確認したいポイント
この質問では、予期していなかった問題が発生した際の冷静さや対応力を確認します。仕事では、すべてを事前に予測できるわけではありません。重要なのは、トラブルが発生した際に感情的にならず、状況と影響範囲を整理し、何を優先すべきかを判断できることです。
深掘り質問
- 最初に何を確認しましたか
- 何を最優先にしましたか
- 誰に報告・相談しましたか
- その判断によってどのような影響がありましたか
- 今振り返ると、別の対応方法はありましたか
評価ポイント
- 冷静な状況判断
- 優先順位付け
- 柔軟性
- 報告・相談
- リスク管理
3.原因がすぐに分からない問題をどのように解決しましたか
質問例
「問題が発生したものの、原因がすぐに分からなかった経験はありますか。どのように原因を特定しましたか?」
この質問で確認したいポイント
この質問では、応募者の分析力や論理的思考力を確認します。問題解決では、最初に考えた原因が正しいとは限りません。複数の仮説を持ち、必要な情報を収集し、事実を確認しながら原因を絞り込めるかを見ることが重要です。
深掘り質問
- 最初にどのような原因を考えましたか
- どのような情報を集めましたか
- 誰から情報を得ましたか
- 原因を特定するまでに、どのような仮説を検証しましたか
- 最終的に原因だと判断した根拠は何ですか
評価ポイント
- 分析力
- 情報収集力
- 論理的思考力
- 仮説検証力
- 客観性
4.周囲と協力して問題を解決した経験を教えてください
質問例
「自分一人では解決できない問題について、上司やチームメンバー、他部署と協力して解決した経験を教えてください。」
この質問で確認したいポイント
この質問では、応募者が必要な関係者を巻き込みながら問題を解決できるかを確認します。特に、部署間で利害が異なる場合や、上司と意見が異なる場合に、どのようにコミュニケーションを取ったかを見ることが重要です。
深掘り質問
- なぜ一人では解決できなかったのですか
- 誰に協力を依頼しましたか
- 相手へどのように状況を説明しましたか
- 意見が異なった場合、どのように調整しましたか
- あなた自身の役割は何でしたか
- 最終的にどのような結果になりましたか
評価ポイント
- コミュニケーション能力
- チームワーク
- 関係者調整力
- 報告・相談
- リーダーシップ
5.問題解決がうまくいかなかった経験と、そこから学んだことを教えてください
質問例
「問題を解決しようとしたものの、最初の方法ではうまくいかなかった経験を教えてください。その経験から何を学びましたか?」
この質問で確認したいポイント
問題解決力を見るために、成功体験だけを聞く必要はありません。むしろ、失敗や判断ミスに対して、応募者がどのように向き合ったのかを見ることで、学習能力や改善力を確認できます。重要なのは、失敗そのものではなく、原因を他人や環境だけに求めず、自分の判断や行動を振り返れているかです。
深掘り質問
- なぜ最初の方法はうまくいかなかったと思いますか
- 途中でどのように問題に気づきましたか
- その後、何を変更しましたか
- 最終的な結果はどうなりましたか
- 同じ状況が発生したら、次はどうしますか
評価ポイント
- 振り返る力
- 学習意欲
- 改善力
- 柔軟性
- 成長可能性
STAR法を使って問題解決の経験を深掘りする
問題解決力に関する面接では、応募者から抽象的な回答が返ってくることがあります。例えば、
・「チームで協力して問題を解決しました」
・「上司へ相談して対応しました」
・「原因を分析して改善しました」
といった回答だけでは、応募者本人が何をしたのかを十分に判断できません。そこで活用できるのが、STAR法です。
Situation(状況)どのような状況で問題が発生したのか。
Task(課題・役割)応募者にはどのような役割や責任があったのか。
Action(行動)応募者本人が具体的に何を考え、何をしたのか。
Result(結果)その行動によって、どのような結果になったのか。
特に重要なのは、Actionです。チームとして何をしたのかではなく、応募者本人がどのような情報を集め、誰に相談し、どのような判断をして、具体的に何を実行したのかを確認しましょう。さらに、
・「なぜその方法を選んだのですか?」
・「他の選択肢はありましたか?」
・「もう一度同じ状況になったら、何を変えますか?」
と質問することで、応募者の思考プロセスや学びも確認できます。
問題解決力を評価する際のよくある失敗
1.結果だけで評価する
「売上を20%改善した」「納期に間に合わせた」といった結果だけで評価すると、応募者本人の問題解決力を正確に把握できない場合があります。結果だけでなく、本人の役割、判断、行動を確認しましょう。
2.「チームで」の回答をそのまま評価する
「私たちのチームでは~しました」という回答の場合、応募者本人がどのような役割を担ったのかが分かりません。「そのなかで、あなた自身は具体的に何をしましたか?」と深掘りすることが重要です。
3.成功体験だけを聞く
成功した問題解決だけでは、応募者が失敗から学べる人物かを判断しにくくなります。うまくいかなかった経験や判断を変えた経験も質問しましょう。
4.応募者によって質問や評価基準が大きく異なる
候補者ごとに異なる質問だけを行うと、比較が難しくなります。基本となる質問と評価項目をあらかじめ決め、すべての候補者を共通の基準で評価することが重要です。
5.募集ポジションと関係のない問題解決を評価する
問題解決力の重要性や求めるレベルは、職種や役職によって異なります。例えば、管理職であれば組織課題や意思決定、営業職であれば顧客課題や売上、経理職であれば数値や業務プロセス上の問題など、募集ポジションで実際に発生する課題と関連づけて評価しましょう。
問題解決力を評価する前のチェックリスト
面接を行う前に、次の項目を確認しましょう。
□ 募集ポジションで求める問題解決力を明確にしているか
□ 実際の業務で発生する問題や課題を整理しているか
□ すべての候補者へ確認する共通質問を決めているか
□ 問題の大きさだけでなく、本人の行動を評価しているか
□ 原因分析から実行までのプロセスを確認しているか
□ 報告・相談や周囲との連携も評価しているか
□ 成功体験だけでなく失敗経験も確認しているか
□ STAR法を使って具体的な行動まで深掘りしているか
□ 面接官の評価基準を共有しているか
□ 募集ポジションに必要なレベルに応じて評価しているか
インドネシア採用の問題解決力に関するよくある質問(FAQ)
Q. 問題解決力とは何ですか?
A. 問題解決力とは、仕事上の問題や課題を把握し、原因を分析したうえで解決策を考え、実行する能力です。原因分析や意思決定だけでなく、必要な関係者への報告・相談、実行後の振り返りや再発防止まで含めて考えることが重要です。
Q. 問題解決力を確認するには、面接で何を質問すればよいですか?
A. 「これまでに難しい問題を解決した経験を教えてください」といった過去の具体的な経験を質問するとよいでしょう。そのうえで、問題の原因、本人の役割、検討した選択肢、具体的な行動、結果、学びまで深掘りします。
Q. 問題解決力はどの職種でも確認すべきですか?
A. 問題解決力は多くの職種で必要となる能力ですが、求めるレベルや内容は職種によって異なります。管理職、営業、エンジニア、経理など、それぞれの仕事で実際に発生する課題に合わせて評価基準を設定しましょう。
Q. 新卒や実務経験の少ない候補者は、どのように評価すればよいですか?
A. 実務経験が少ない場合は、大学での研究、インターンシップ、アルバイト、部活動、ボランティア、個人プロジェクトなどの経験から確認できます。重要なのは経験の規模ではなく、問題に対して本人がどのように考え、行動したのかです。
Q. STAR法とは何ですか?
A. STAR法とは、Situation(状況)、Task(課題・役割)、Action(行動)、Result(結果)の順に経験を整理する方法です。採用面接では、応募者の回答をSTAR法に沿って深掘りすることで、本人の具体的な行動を確認しやすくなります。
Q. 問題解決力は面接だけで評価できますか?
A. 面接だけで完全に判断することは難しいため、職種によってはケース面接、スキルテスト、業務シミュレーションなどを組み合わせる方法があります。ただし、選考方法を増やしすぎると候補者の負担になるため、募集ポジションで確認したい能力に応じて必要な方法を選びましょう。
まとめ
問題解決力は、インドネシア採用において多くの職種で確認しておきたい能力の一つです。ただし、「問題を解決できました」という結果だけで応募者を評価するのでは十分ではありません。面接では、次の5つの観点から確認しましょう。
- 問題を正しく把握できるか
- 原因を分析し、適切に判断できるか
- 主体的に行動できるか
- 必要な関係者へ報告・相談し、周囲を巻き込めるか
- 経験から学び、改善や再発防止につなげられるか
また、応募者の回答が抽象的な場合は、STAR法を使って、Situation(状況)、Task(課題・役割)、Action(行動)、Result(結果)の順に深掘りすることが有効です。特に、「チームで解決しました」という回答だけで判断せず、「あなた自身は具体的に何をしましたか?」と質問することが重要です。問題解決力の評価では、正解を答えられる候補者を探すのではなく、問題に直面したときに、どのように考え、判断し、周囲と連携しながら行動する人物なのかを確認しましょう。
Peoplyeeでは、2013年からインドネシアで日系企業を中心に、人材・組織に関する課題解決を支援してきました。人材紹介だけでなく、HRIS(人事システム)や人事制度、採用設計など、インドネシアにおける人事・採用課題を総合的にサポートしています。インドネシアでの採用や、面接方法・評価基準の設計に課題を感じている企業は、Peoplyeeまでお気軽にご相談ください。



